儲かる!という話に釣られて、輸入ビジネスを軽い気持ちで始める方は多いでしょう。
簡単に始められて再現性が高いのが輸入ビジネスですが、実際はたくさんの法律による縛りがあります。
この法律を無視しているとAmazonのアカウントが閉鎖されてしまうということもありますが、裁判に発展してリアルアカウント(マンガじゃないよ)すら閉鎖されてしまうこともあるかもしれません。
今回は輸入ビジネスで絶対に抑えておくべき法律について書かせていただきます。
※ 私は法律の専門家ではないので記事の正確性は保証できません。自己責任でお願いします。
これだけは絶対覚えておけ!っていう法律たち
覚えておいてほしい法律を優先順に並べています。大事なことから書いていますので、集中力を持って読んで下さい。
電気用品安全法
お手元の家電の電源プラグなんかを見てください。PSEと書かれたマークがついていないでしょうか。下記のようなやつです。
PSEマークは適正な検査をし、基準を満たしたものにのみ表示することができるマークです。
このPSEマークがついていないものは日本で販売してはいけません。最悪の場合1年以下の懲役、もしくは100万円以下の罰金という罰則があります。
輸入した電化製品にはまず間違いなくこのPSEマークはありません。PSEマークをつけるには検査をしなければならないのですが、その検査が個人事業でやるにはコストが高すぎて割に合わないのです。
要は電源プラグのある輸入家電はほぼ扱えないってことです。
わたしもそう思います。でも他の人がやっているからといって自分も違法販売していい理由にはなりません。
わたしも過去にPSEマークのないものを販売してしまったことがありますが、すぐに自主回収しました。
PSEマークのついていない家電を販売して、お客さんの家で発火してしまったという状況を想像してみてください。あなたに責任取れますか?
わたしは実際に、お客さんから
というクレームを受けたことがあります。
罰金・罰則以上に怖いのが賠償請求です。PL保険に入っていたとしても違法販売しているものは保険適用対象外でしょう。
賠償金を払わなければならないし、懲役刑をくらうかもしれないし、あまりにもリスクが高いです。
輸入家電は儲かる商品が多いのですが、簡単に楽して儲かるのには裏があるということです。それ以上に大きな損失をかぶるリスクがありますので、しっかり法律を守って輸入ビジネスをやっていきましょう。
電波法
電波法とは、許可されていない電波を勝手に出してはいけません、という法律です。
電波は限りある資源と言われていて、使える電波は事業者に割り当てられています。個人が無断で好き勝手に電波を出してはいけないのです。
下記のマーク(技適マーク)がない製品は販売しないように努めなければいけません。
PSEマーク同様、輸入した製品にはまず間違いなくついていないです。日本基準ですからね。
無線っていうとどんなことを思い浮かべますか?たとえば下記のものが該当します。
- Bluetooth
- wi-fi
- 3G
- LTE
- WiMAX
- トランシーバ
Bluetoothを使ったマウスやキーボード、wi-fiやWiMAXを使ったルータ、3G/LTE回線を使うスマホ、無線のトランシーバ、ざっと思いつくところだとこんなところです。
時代はまさにIoT時代。モノがインターネットにつながる時代です。無線を使った製品ってたくさんあって、最近では無線じゃない製品を探すことのほうがむずかしくなってきました。
輸入ビジネスセラーでもワイヤレス製品を扱っている人は多く見かけますが、だからといって売っても大丈夫というわけではありません。
1年以下の懲役、もしくは100万円以下の罰金となります。(使ったお客さんがね)
電波法で怖いのは重要な電波を妨害してしまったときにあります。たとえば警察や消防など、人命に関わるような無線通信を妨害させてしまうと、最悪5年以下の懲役、または250万円以下の罰金となります。
電波法というのは、技適マークのない製品を使った人が罰せられるものなのです。
というわけではなく、違法行為の片棒をかつぐようなことはしないほうが良いってことです。
限りなく黒に近いグレーなのですが、Amazonの規約にはバッチリ違反しています。アカウント閉鎖につながりかねないので扱わないの無難でしょう。
ちなみに、販売しないよう努めなければならないということを強調しましたが、販売してしまったとしても罰金・罰則はありません。(電波法 百二条の十一より)
電波法には特定周波数で著しく微弱な電波であれば除外されるとも記載されています。この一文から、ラジコンはOKと思っている人もいるようですが、それはどうやら間違いのようです。
除外条件とは、たとえば海外の人が海外旅行や出張で現地のスマホを日本に持ち込むパターン。こういう場合は電波法の除外条件に含まれていて、期間限定(90日以内)で許されることもあるようです。
食品衛生法
人の口に触れるものが対象です。たとえばボトル・水筒なんかが該当します。
赤ちゃん・幼児のおもちゃなんかも食品衛生法の対象となります。子供はなんでもかんでも口に運びますからね。
電化製品だと品質が悪いものは発火しそうな気がするけど、ボトルや水筒なんかはそんな事故起こらないだろ~と思うかもしれませんが、万が一事故が起こったときには一番ダメージが大きいです。
たとえば、水筒にアツアツのお茶なんかを入れてみたらどうでしょうか?もしかすると製品の品質が悪くて容器が溶けて、液体と混ざり人の口・体内に入ってしまうかもしれませんね。
それが有害物質であれば病気になったり後遺症が残るなんてこともあるかもしれません。…というようなことが食品衛生法に書いています。
健康被害は最悪人命に関わりますからね。罪も重くて違反すると2年以下の懲役、もしくは200万円以下の罰金です。
薬事法
薬はもちろん、医療器具・医療機器、化粧品も対象です。
輸入できない薬というと麻薬といった危険ドラッグを思い浮かべると思います。そんなものはもちろん輸入してはいけません。
ですが輸入禁止の薬は危険ドラッグだけではありません。サプリメントも輸入禁止です。
サプリメントは厳密にはすべてが輸入禁止なわけではありませんが、薬のカタチをしているというだけで医薬品と見なされてアウトということもあります。
人の口に入るものなので検査もしなければなりません。サプリメントの輸入は個人の輸入ビジネスでは扱えないと思っておいたほうが良いでしょう。
医療器具も輸入が禁止されていて、たとえばメガネなんかも医療器具のため輸入できません。(度が入っているとダメで、サングラスはOKです)
人の口に入るもの、肌に触れるものには注意したほうが良いです。
最大で5年以下の懲役、もしくは500万以下の罰金です。
食品衛生法と同じように、人の健康に関わる問題ですので重たいですね。
消費生活安全法
この法律はどの商品が対象となっているか区別したり列挙するのがちょっとむずかしいですが、下記のものがメジャーです。
- レーザーポインタ
- ヘルメット
- 登山用ロープ
考え方としては、『人命や健康に危険が及ぶかどうか』ということです。
たとえばレーザーポインタは通常の使用であれば人に危害を加えるようなことはありませんが、間違って人の目にあたってしまうと視力の低下につながります。悪用しないとも限りませんからね。
ヘルメットは事故が発生したときに基準を満たしていないものだと人命に関わります。バイクのヘルメットだと日本の場合はJIS規格というものがあり、これを満たしていないと違反・違法となります。
登山用ロープは、品質が悪くて登山中にロープが切れたりしたら死亡事故につながります。
注意していないとなかなか気づかないのですが、下記のマークがあるかどうかです。
この法律に違反すると、懲役1年以下、もしくは100万円以下の罰金です。
銃刀法(拳銃関連)→外為法
拳銃はもちろんですが、拳銃に付属するパーツ・アクセサリもNGです。場合によってはおもちゃのピストルも対象になることがあります。
と言われる人が多いのですが、関係しているのは銃刀法というよりは外為法でしょう。
日本ではサバゲーがはやっていますよね。サバゲーにはエアガンを使うわけですが、今のエアガンってすごく本物そっくりです。
本物そっくりのエアガンも輸入することができなかったりしますし、本物の拳銃の部品に代用できるものがあったりするのでNGです。
また、エアガンを収納することが目的で拳銃のケースを使う人もいるのですが、ケースもNGです。
エアガンに装着するマウント・レーザーポインタもNGです。これはもう完全におもちゃだろ!と思うNERF(ナーフ)のピストルもNGです。でも水鉄砲はOKです。
NGだらけですね!銃に関するものはおもちゃだろうがアクセサリだろうが、扱わないのが一番です。税関で止められてしまうこともありますからね。
ただ実際には拳銃を輸入することはないでしょう。そもそもどこで買えばいいのかわかりませんし。
ありがちなのは拳銃に関する部品・パーツ・アクセサリの輸入です。すべてが対象となるわけではないですが、最悪の場合は5年以下の懲役、もしくは100万円以下の罰金です。(銃刀法違反したら、という意味で。)
ちなみに銃刀法違反は拳銃だけが対象ではありません。刃物も対象です。
対象となるかどうかは刃渡り15cm以上か未満かです。15cm以上の刃物は銃刀法違反になります。
銃刀法(刃物関連・軽犯罪法)
上述した銃刀法違反の対象となる刃物について追加の説明です。
刃渡り15cm以上の刃物なんてなかなかないのですが、実は5.5cm未満の刃物でも軽犯罪法の対象となるため、税関で止まることがあります。
十徳ナイフも対象になることがあるし、刃物じゃないじゃん!って思うタクティカルペンも対象です。わたしも普通のボールペンだと思ってタクティカルペンを買ったことがあるのですが、輸入にはいたりませんでした。
実はこれは銃刀法違反ではなく、外国為替及び外国貿易法(外為法)が関わっています。外為法が武器の輸入を禁止しています。ここをごっちゃにしている人、すごく多いと思います。
少し脱線しますが、前に果物ナイフを持ってキャンプに行ったのです。途中で寄ったコンビニで警察官に職務質問されたことがあります。実はキャンプ場以外で果物ナイフを持ち歩くことすらNGなのです。
ちなみに調理用の果物ナイフは食品衛生法にもひっかかります。
軽犯罪法はいろんな軽犯罪をひっくるめていますので、明確にどれくらいの罰金が課せられるかはわかりません。勾留はありますが懲役刑はありません。
計量法
日本はすべて『メートル』で表記するということが決められています。これはいろんな尺度があると混乱させてしまうためです。
しかし、アメリカなんかだと『メートル』ではなく『インチ』を使っていることが多いですよね。インチが測れるメジャーはなにかと便利な場面も多くて生活のお役立ちアイテムとなってくれそうなのですが、計量法違反となります。
今まで人命に関わるようなことばかり書いてきましたのでなんだかすごくかる~い法律のようにも聞こえますが、最悪の場合は6ヶ月の懲役、もしくは50万円以下の罰金です。
6ヶ月ぐらいの懲役なら大丈夫、なんて思うわけないですよね。副業だとどんな短い懲役刑でもリアルアカウント閉鎖です。
ワシントン条約
1972年に決められた条約で、絶滅危険のある動物・植物の取引が禁止されたものです。
輸入ビジネスでは動物そのものを輸入するようなことはないと思います。わたしは今までにAmazonで犬や猫そのものが販売されているのを見たことがありません。
一見、動物そのものの取引のようにも思いますが、実は動物の毛を使っているだけでもアウトだったりします。
ありがちなのが動物の毛を使ったブラシの輸入です。ブラシだから問題ないだろうと思っていてもそのブラシに使われている動物の毛に何が使われているかで輸入できるかどうかが決まります。
ワシントン条約に違反した場合に課せられる罰則・罰金というのは決められていませんが、別の法律にひっかかります。
- 関税法違反…5年以下の懲役、もしくは500万円以下の罰金
- 外国為替及び外国貿易法違反…1年以下の懲役、100万円以下の罰金
動物・植物、またはそれを素材とした商品を扱うときは注意しましょう。
法律について誤解されていると思われること
ここで紹介しているお話は表面的なものばかりです。まだまだ法律の話は深いです。今後、詳しく説明していこうと考えています。
怪しいな…と思うような商品はJETROやmiproで確認することを強くおすすめします。
よく輸入ビジネスで銃刀法だなんだと言われていますが、基本的に輸入を直接禁止する法律ではないんです。輸入を禁止する法律は外国為替及び外国貿易法(外為法)です。外為法が銃刀法などに絡んできて輸入禁止となることがあります。
スリング(パチンコ)も外為法では規制対象外の項目に入っているんですよね。いまだにスリングは輸入禁止だ、という記事を多く見かけますが、現状がどうなっているのかイマイチよくわかりません。
まとめ
インターネットの普及により個人が輸入をしやすくなり、便利な世の中になったことは間違いありません。
ですが、個人で輸入をするにはハードルが高いものがあるのは事実です。そして輸入ビジネスをやっている人の多くが違法行為をしているのも事実です。
他の人がやっているから大丈夫。赤信号、みんなで渡れば怖くない
…ではなくて、自分だけは法律に違反しないようにしよう!と意識を高めて輸入ビジネスに取り組んでください。
かといって法律を完璧に覚えるというのはむずかしいです。
むずかしいから違法行為をして良いというわけではありませんが、わたしはいつも下記の基準で仕入れをしています。
『その製品は人や家財を傷つける可能性があるか?』
法律は日本の平和維持のためにあるようなものです。平和が維持できないようなものは輸入できない、ということを考えると自然と輸入しちゃいけなさそうなものが浮かび上がってきます。
最悪の場合は懲役刑をくらうし罰金も数百万払うことになります。裁判になって賠償命令がくだされれば数億円のダメージになるかもしれません。
賠償金払えなくなったら自己破産すればいいや!とか思ったりしていませんか?自己破産しても賠償命令からは逃れられませんのでご注意を。(破産法 第二百五十三条第ニ項・第三項)
くれぐれもリアルアカウント閉鎖にならないようにしましょう。
※ 間違いなどあればご指摘お願いします。できれば法律 第何条、第何項までご教示いただけると助かります。